第3回目。今回は、一部界隈で必読ともなってる「AI vs 教科書が読めない子どもたち」です。
「東大合格を目指すAI」でお馴染み(?)の数学者の新井先生の本です。
「東大合格を目指すAI」でお馴染み、とは言いましたが、
新井先生としてはそれが第一義ではなく、
「AIには何ができて、何ができないか。その検証をし、その先ゆたかに生きていくために我々はどういう力を身につけるべきか」
を数学者として明らかにしたいと執筆されました。
で。
AIにできること、できないことは、この本をもとにいろいろなところで語られ記事にされているのでそこは割愛し、私が『ん?これは文脈から若干浮いているな』と思ったところにスポットします。
それが次の文章。
〈1に読解力、2に読解力、3,4が遊びで、5が算数〉 ・・・(*)
本文では「現時点では〇〇をすれば読解力が上がるという方法は検証できていない」としたうえで、
でも、子どもたちの経験として大事なのは(*)である、ということでした。
ここでいう”子どもたち”とは小学生〜中学生くらいだと思います。
(調査には高校生や大学生も対象になっていましたが、教育として早くから意識するには、といった意図でしょう)
(若干それるようですが)新井先生は数学者・研究者というご自身の立場を極めて明らかにしたうえで語られるような方、という印象をもちました。
(それもあってか)教育に触れる部分はあえてディープな表現は避けていらっしゃいました。
で、で、で。
(*)に戻りますが、私なりに
(1)読解力
(2)遊び
(3)算数
を分解してみようと思います。
(1)読解力
本文中にもありましたが、よくある「作者の意図はどのようなものかを読む力」ではなく、「文章の意味内容を理解する力」です。
これは私の解釈でいうと、「豊富な語彙力と構成力」です。
ざっくりいうと、たくさん言葉を知っていて、それを文法(ルール)に乗せて使える力です。
(2)遊び
やって終わりの即時的エンターテインメントはこの枠には入りません。
(多くの保護者の方がお子さんのゲーム漬けを敬遠されるのは、ここの”学びの欠如”感を直感的に気づいていらっしゃるからかと。とはいえ、最近のゲームはわりかしよく練られていますが…。)
必要な要素としては、
・身一つであること
・試行錯誤があること
・楽しいこと
です。
ベタな例でいうと、鬼ごっこや(身一つではないですが)トランプなどはいいと思います。
上の要素が含まれると、「コミュニケーション」と「多様性への没入」が網羅されるので、これはまなびの要素として大きいです。
(3)算数
論理を論理通りに進めていけば「解ける!」という感覚があるから。
算数や数学がとけたときのアノ気持ちよさは独特のものがありますし、論理への安心感が得られます。
「あ、こうやればいけるんだ」みたいな。
プログラミング教育がにわかに流行りだしていますが、それはこのあたりでカバーできるはずです。
(ここはまた別記事にて。)
何にしても「今的な力が求められてるんだな」というのが見られます。
AIにできること・できないことを研究されてる立場(と新井先生の経験的直感)でこその鋭い視点だなと思いました。
今のこの時代を読み、「じゃあどんなことを子どもにしてあげたらいいか」を勉強するには手っ取り早くていい本だと思います。
けっこう読みやすいし。
おすすめ度:★★★★☆
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